さまざまな「印刷物」

印刷博物館で ≪印刷都市東京と近代日本≫ を見ました.「東京は日本で一番印刷が盛んな都市」だそうで,江戸後期以来のさまざまな出版物を展示しています.はじめに置いているのが『解体新書』で,「日本で初めて西洋書物を本格的に翻訳した書でもある」とのことです.名前だけは超有名ですが,実物を見たのははじめてです.ほかにも『東海道中膝栗毛』とか『北越雪譜』といった著名な本や浮世絵などいろいろとありましたけど,明治になると啓蒙的な本や政治的な主張をあらわす出版物が増え,江戸時代とは様相が変わってくるようです.が,『学問ノス﹅メ』の海賊版が木版でおこなわれたりしていて,いっきに活版印刷が普及したわけでもないらしいんですね.このあたり,けっこう複雑な事情があるといえそうです.「書物」ばかりでなく,新聞や,紙幣や地券や,輸出用の生糸のラベルも展示してありました.「印刷物」をキーワードとするなら,こういったものも同列にあつかいうるわけで,ユニークな企画展だといえるでしょう.どの章もおもしろく見ました.