2018-01-01から1年間の記事一覧

ことし印象にのこったもの

美術では2月に Bunkamura ザ・ミュージアムで見た ≪ルドルフ2世の驚異の世界展≫ を挙げます.よくまあ集めたものだ,という感想には変わりがありません.とにかく圧倒されました. マンガでは,吉田秋生『海街diary 9 行ってくる』(小学館,2018年12月)…

へんな絵

中野京子・早川いくを『怖いへんないきものの絵』(幻冬舎,2018年12月)読了.早川いくをという方は名前すら知らなかったんですが,巻末の著者紹介によれば,多摩美術大学を卒業後,広告会社や出版社に勤めたのちに独立して文筆業となったとか.生物学を独…

美術ファンへおすすめ

高階秀爾『 ≪受胎告知≫ 絵画でみるマリア信仰』(PHP新書,PHP研究所,二〇一八年十一月)を読みました.「キリスト教と西洋美術の関係」などという(序章の)章題はいかにもむずかしそうですけど,西洋の文化に「受胎告知」がふかく入り込んでいることを示…

貴重な史料

東京都水道歴史館で ≪上水記展 上水を描く−「樋線図」の世界≫ を見てきました.十年ほど前にも見ているはずなのですが,ほとんど記憶がなく,こういうものだったのかと,認識をあらたにさせられた次第です.第二巻の絵図がすごいですね.羽村あたりの取水堰…

大胆な色とデザインにおどろく

たばこと塩の博物館で ≪MOLA パナマの先住民クナ族の衣装と意匠≫ を見ました.パナマと聞けばパナマ運河をおもいだすくらいで,他にはまったく知識がなかったのですが,この共和国にはクナ族という先住民が暮らしているのだそうです.その独自の衣装を紹…

かなり複雑

國學院大學博物館で ≪キリシタン 日本とキリスト教の469年≫ を見てきました.「キリシタン」ということばにはエキゾチックというか,どこかふしぎなニュアンスがあります.「宗教」という面だけではなく,「日本」が受容し,独自に変化発展させてきた政治的…

さまざまな意匠

東京国立博物館・東洋館で ≪海の道 ジャランジャラン≫ を見てきました.「日本インドネシア国交樹立60周年」とうたっていますが,正直なところ,インドネシアについてのわたくしの知識はほとんどゼロで,東南アジアの一国らしい,くらいしか知りませんでした…

職人技のすごさ

LIXILギャラリーで ≪海を渡ったニッポンの家具≫ を見てきました.先週の記述と同じ感想になってしまうのですけど,こうしたモノを作りだした人々の技量には,まったくおそれいりましたというほかありません.寄木細工とか青貝細工といった伝統的な技法を駆使…

民衆のエネルギー

出光美術館で ≪「江戸名所図屏風」と都市の華やぎ≫ を見てきました.徳川家康による江戸の開府以来,ひなびた一地方にすぎなかった江戸は大都市に発展していきますが,そのいくつかの場面を描いた絵巻や屏風絵をあれこれと紹介しています.それまでの「美術…

見るだけでいい

またも半月あまり更新を怠ってしまいました.感想を記すのがめんどくさいというのが最大の理由ですが,それだけでなく,見たものについての感想というのが案外のクセモノで,厄介で,むずかしいことでもあるからです.見はしたものの,その感想をいいあらわ…

妖怪関連で

流水りんこ『流水さんの百物語』(ぶんか社,2018年 8月)を読みました.お盆の季節にあわせて出版した,という面があるのかもしれませんけど,霊魂の妖しさ・不思議さは時期に関係なく,いろいろな局面で多様な形態をとってあらわれてくるようです.怖いエ…

またも妖怪本を

『別冊太陽 幽霊画と冥界』も読みおえていないのに,またまた『東京人 9月号 特集 江戸東京 妖怪探訪』(都市出版株式会社)を買ってしまいました.こちらは,標題のとおり江戸・東京といった土地と妖怪との関係,また妖怪に関心をしめしたひと(井上円了や…

夏にふさわしい(?)本

丸一ヶ月も更新を怠ってしまいました.暑さのせいでなにもやる気がおきず,いっぽうで西日本の災害の報に接しては,個人的なブログなどにどんな意味があるんだと懐疑的な気持ちになってしまったのが停滞の原因です.が,そんなときだからこそ,現実をはなれ…

美術品といってもいい

国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館で ≪携帯の形・ひらく弁当箱≫ を見ました.「弁当箱」ということばには(わたくしひとりの感覚かもしれないんですが)どこか卑近なニュアンスがあって,高級なものではないようにおもっていたのですけど,この展示で考え…

見比べることのおもしろさ

三週間以上更新を怠っていました.すこしは本を読んだり,美術館にいったりもしていたのですけど,書くのがおっくうで,ついそのままになってしまった,というのが実情です.たまたま本日は書いておくに値する(と,おもわれる)展示にいってきたので,紹介…

都心で森林浴

国立科学博物館附属自然教育園にいってきました.ここは植物園なのでしょうか.庭園とか公園というものとはどこか違うおもむきがあるようです.なるべく人の手を入れず,自然のままに生育させることをモットーとしているらしく,生態系の保護の点から,入場…

物見遊山

人混みは好きではないのですが,連休中にどこにも行かないのも曲が無いとかんがえ,旧古河庭園に行ってみました.午後一時半過ぎに着いたのですけど,切符を求める長蛇の列ができており,かなり待たされそうなので入場をあきらめ,さらに20分ほどあるいて六…

多様なアプローチ

切手の博物館で ≪チクタク・チクタク −時を刻む−≫ を見てきました.時間というものを人類が意識したのはいつごろからなのでしょうか.はるか古代の,記録も残っていないときに既に「時間」への関心はあったとおもわれるのですが,今回の展示ではそうした「時…

さまざまな「ヌード」

横浜美術館で ≪ヌード 英国テート・コレクションより≫ を見てきました.チラシに「ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのか、絵画、彫刻、版画、写真など約130点でたどります」とあって,そうした観…

怪人(?)列伝

LIXILギャラリーで ≪ニッポン貝人列伝 時代をつくった貝コレクション≫ を見ました.日本では古くから貝を食糧として捕獲し,その殻も捨ててしまうのではなく,螺鈿の材としたり貝細工をつくったりと,さまざまに利用してきていますが,科学的な学問の対象と…

戦後風俗あれこれ

昭和館で ≪希望を追いかけて フロリダ州立大学所蔵写真展≫ を見ました.撮影者のオリバー・L・オースティンJr. は「戦後まもない昭和21年(1946)9月から25年2月まで、GHQ(連合国総司令部)の天然資源局野生動物課長として日本に滞在した鳥類学者」だそう…

風景今昔

新宿歴史博物館で ≪天空から見た新宿風景≫ を見てきました.昭和の初期から平成5年まで,新宿の光景のあれこれを200点ほどの写真で示しています.サブタイトルでは「鳥のように空から新宿の街を眺めたら」と謳っていますけど,航空写真だけでなく,ふつうの…

花見

神代植物公園にいってきました.桜はすでに散ってしまった木もありますが,大量の花を擁しているものも多く,十分に堪能しました.一口に桜といっても,けっこう色々な種類があるんですね.白い花もあれば薄いピンク色やかなり濃いピンクもあり,花のかたち…

花見日和

小金井公園にいってきました.じつは一昨日,井の頭公園にいったのですが,あまりの混雑に辟易して,これは花見ではなく雑踏見ではないかと興醒めしてしまい,ブログにも書かずじまいでした.今日の小金井公園も,かなりの人出ではあるものの,広さのちがい…

情報満載

天理ギャラリーで ≪諸国名所絵図めぐり 一枚刷りにみる、ふるさとの風景≫ を見てきました.江戸時代のひとはそれぞれが住む土地に縛りつけられていて,現代のように自由に旅行をすることなどなかったように思っていたのですが,じっさいには「旅」をすること…

梅見

きょうは湯島天満宮にいってきました.すでに散りかけている梅もあるものの,見栄えのする枝も多く,たべものや土産物の屋台店もにぎわっており,盛況といえるでしょう.ひとと触れあうほどの小規模な空間での梅見には,広い公園や梅郷での花見とは別種の風…

梅まつり

春らしいうららかな気候にさそわれて,府中市郷土の森博物館にいってきました.ふつうなら庭園とか公園と呼ぶところを,ここは「博物館」と称しているようです.むろん博物館の建物もあって,歴史的・考古学的な資料を展示していますが,今の季節は梅見のほ…

こんな人がいた

今日は杉並区立郷土博物館 分館で ≪江渡狄嶺資料展≫ を見ました.狄嶺とは「大正から昭和初期にかけて高井戸を拠点に活動した、青森県三戸郡五戸町出身の農業思想家」だそうです.東京帝国大学に進んだものの,「百姓の生活というものが一番正しいものである…

こんな人がいたの(?)

国立科学博物館で ≪南方熊楠 100年早かった智の人≫ を見てきました.熊楠のなまえは知っていたんですが,著書を読んだことはなく,具体的にどんな業績があったのかも知りませんでした.今回の展示では生涯をたどりつつ,為したことをさまざまな資料で示して…

あきれた対応

アメリカの高校での銃乱射事件に関して,トランプ大統領は教師にピストルを持たせるという提案をしたそうです.もし,その教師がピストルを乱射したら,どうするんでしょうか.そうした可能性を考慮していない点において,このトランプというひとの思考回路…