2014-01-01から1年間の記事一覧

ことしもっとも印象にのこったもの

≪特別展 江戸妖怪大図鑑≫ (太田記念美術館,2014年 7〜 9月).「第1部 化け物,第2部 幽霊,第3部 妖術使い」と3期にわけて,おどろおどろしい,それでいて見るものを惹きつけるあやしげな世界を堪能させてくれました.なお,美術関連の本として,冨田…

ノンセンスの極み

吾妻ひでお『チョッキン[完全版] 』(全3巻,復刊ドットコム,2014年10〜12月)読了.「完全版」とうたっているのは,単行本未収録作品も掲載しているからです.この作品の内容・特色・マンガ史上での意味や影響については「第3巻」に付された佐野邦彦氏…

情報量が多い!

蛇蔵『決してマネしないでください。1』(講談社,2014年12月)読了.この本のことは朝日新聞の広告欄(12月17日朝刊)で知りました.工科医大に通う掛田クンが学食のオバサン(といっても20歳代なかごろですが)に恋をして,告白するものの,その方面に疎く…

「素朴」だけではない

はらだたけひで『放浪の聖画家 ピロスマニ』(集英社新書ヴィジュアル版,集英社,二〇一四年一二月)読了.「イントロダクション」と「エピローグ」のあいだに9の章をもうけて,ピロスマニの生涯や作品やその背後にあるものなどを紹介・解説しています.「…

ヘンな知識を得ることができました(笑)

流水りんこ『インド夫婦茶碗 20』(ぶんか社,2014年12月)読了.例によってのエッセイマンガですが,冒頭の「140杯目」はちょっと変わった内容で,玄関先で「ちいさいヤモリの赤ちゃん」をゲットしたことにはじまるあれこれを描いています.ヤモリの飼い方…

現代とは異なる感覚

中野区立歴史民俗資料館で,今日が最終日の企画展「旅とひとびと」を見てきました.チラシに「近世の信仰に基づく旅から、旅に関する地図やお土産品などを紹介し、江戸時代から現代までの旅の変化をお見せします」とあるように,現代人のかんがえる「旅」と…

細部へのこだわり

町田市立博物館で ≪ガラスの鼻煙壺 清朝の嗅ぎたばこ入れ≫ を見ました.鼻煙壺とは,17世紀から20世紀ころに清朝で流行した嗅ぎたばこを容れる容器で,素材も陶器や象牙などいろいろなものがあるようですけど,今回は主にガラスでつくられたものを展示してい…

50周年!

『青池保子 華麗なる原画の世界 「エロイカ」から「ファルコ」まで』(秋田書店,平成26年11月)読了.「漫画家生活50周年記念」と銘打たれています.いわゆる「24年組」のひとたちのなかで,もっともデビューが早かったのではないでしょうか.本書には,デ…

あきれた見解

「次世代の党は、いわゆる従軍慰安婦問題を巡り、日本軍による強制連行がなかったことを国会としても確認する決議案を、衆院に提出する方針を固めた」という記事をYOMIURI ONLINEで見かけました.「「政府が徹底した調査をしたにもかかわらず、慰安婦問題に…

春画の分類法(?)

オフェル・シャガン『わらう春画』(朝日新書,朝日新聞出版,2014年10月)読了.オフェル・シャガン氏は春画のコレクターで,『ニッポン春画百科』(上下2巻,平凡社,2011年 7月)という著書もあります.今回の本は,タイトルにあるとおり,春画における…

ちょっと変わった切り口による美術史

中野京子(監修)『マンガ西洋美術史 01「宮廷」を描いた画家』(美術出版社,2014年10月)を読みました.美術史の本というのは,時代順に様式や流派に沿った記述がなされるのがふつうですが,監修の中野氏は「はじめに」で「これまでとは少し違った括り方で…

多様で多彩で,(ある意味)前衛的

太田記念美術館で ≪没後150年記念 歌川国貞≫ を見ました.国貞といえば,七代目團十郎など文化・文政期の役者絵で有名な絵師,というのが一般的な評価かとおもわれますが(わたくしもそんなふうにおもっていました),そればかりではない,さまざまな分野の…

こういう切り口もあるのか

安村敏信『面白江戸アートギャラリー 江戸の十二支どうぶつえん』(東京美術,二〇一四年十月)を読みました.「はじめに」につぎの記述があります. 近年、動物をテーマにした絵画や工芸の企画展が各地の美術館で開催され、好評を得ている。[中略]とはい…

140周年

GAS MUSEUM がす資料館で ≪〜銀座から140年〜「ガス燈が照らした東京の街」展≫ を見ました.チラシの冒頭に「1874年(明治7)12月18日に、金杉橋から京橋までの銀座通り沿いに85基のガス街灯が灯り、東京におけるガス事業が誕生しました」とあります.それか…

美術作品といっていい

石神井公園ふるさと文化館で ≪特別展 型紙の美 −武蔵大学蔵 朝田家型紙コレクション−≫ を見ました.丹後の宮津で「天保年間(一八三〇〜一八四四)から明治三十九年(一九〇六年)まで紺屋を営んでいた朝田家からの寄贈資料を中心に展示」しています.型紙と…

生誕450年

練馬区立美術館で ≪見つめて、シェイクスピア!展 美しき装丁本と絵で見る愛の世界≫ を見ました.ことしがシェイクスピアの生誕450年にあたっており,再来年は没後400年になる,とのことですので,シェイクスピア関連の企画が多く出るものとおもわれます.本…

残酷さをふくんだファンタジー

TONO『砂の下の夢 空の下の緑 1』(秋田書店,平成26年 9月)読了.このところ,日常生活のあれこれに取材したエッセイマンガが多かったTONO氏ですが,今回はうってかわって,奇妙な世界をたっぷりと描いています.なんともふしぎなストーリー,奇々怪々な登…

オリンピックにかんするあれこれ

杉並区立郷土博物館 分館での企画展 ≪1964 東京オリンピックと杉並≫ を見ました.今年が1964年の東京オリンピックの50周年にあたるというので,「区民の皆さんに「1964 東京オリンピック関連グッズ」の募集を呼び掛け」て集まった諸資料を展示しています.オ…

おもちゃの持つ意味

中野区立歴史民俗資料館で ≪特別展 おもちゃ絵とすごろく≫ を見ました.「おもちゃ絵」とは「江戸時代から明治前期にはやった子ども向けの多色刷り木版画」で,さまざまな分野の <モノ> を網羅して示したり,切り抜いて遊ぶこともできたりするような,娯楽…

猫がいっぱい

平松 洋『猫の西洋絵画』(東京書籍,2014年 9月)を読みました,というより,ながめました.平松氏は <絶世の美女> などといったテーマを設定して,それに見合った西洋絵画を選んで解説を付した本をいくつも上梓されていますが,今回は <猫> です.猫は…

吾妻ひでお健在!

吾妻ひでお『カオスノート』(イースト・プレス,2014年 9月)読了.「不条理日記」の続編のようですけど,テーマや技法は多彩をきわめており,どこもおもしろく読めます.というより,圧倒されます.発想の奇抜さ,入念な描写と(手抜きのような)簡潔な絵…

指輪のあれこれ

国立西洋美術館で ≪橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで−時を超える輝き≫ を見ました.橋本氏の指輪のコレクションは2008年に箱根ガラスの森美術館で見たことがありますが,そのときは70数点の展示でしたので,今回はその4倍ほどの規模になります…

特異な観点からの特異な指摘

3週間以上もプログの更新をおこたってしまいましたが,いったんついたナマケ癖を払拭するのはたいそうむずかしく,よほどのキッカケがないと,再開にふみきれません.が,これはやはり取りあげたほうがいいんではないかとおもう本にめぐりあえましたので,…

むかしの景色

GAS MUSEUM がす資料館で ≪〜都市風景の記録者〜 「織田一磨と東京風景」展≫ を見ました.無知をさらけだすようで恥ずかしいのですが,織田一磨というひとは,まったく知りませんでした.1882年(明治15年)に東京に生まれ,石版画家であった兄について絵と…

探求のおもしろさ

都合でカキコミがおくれてしまいましたが,29日に京橋のAGC studio で「背守りから見える<世界>」という講演を聴きました.LIXILギャラリーで開催中の「背守り」展の関連企画で,講師は郡山市立美術館館長の佐治ゆかり氏です.演題のとおり,背守りそのも…

お化けがいっぱい

太田記念美術館で ≪特別展 江戸妖怪大図鑑 第1部 化け物≫ を見ました.来月は「第2部 幽霊」を,9月には「第3部 妖術使い」を展示するとのこと.妖怪とかお化けといったものは,論者によって用語の内容や定義にちがいがあって,かならずしも一定ではない…

暗合

このところ,何もやる気にならぬ日々が続いており,本を読んでも中絶してしまうことが多く,そのために読書量もおそろしく減って,プログの更新も滞っていたのですけど,たまたま昨日,中野京子氏のブログで「レオナール藤田のあの「白」の秘密が天花粉にあ…

なんといえばいいのか

清水玲子『Deep Water <深淵>』(白泉社,2014年 7月)を読みました.病院のシーンにはじまり,ある女子高生の陸上競技大会での活躍を伝える記事が出てくるかとおもえば,いきなり「6年前」の事件が挿入され,この作品の主要登場人物は誰と誰で,これらの…

竹本泉氏の新刊2冊

『シンリャクモノデ 2』(KADOKAWA)と『がーでん姉妹 2』(竹書房)を読みました.奥付ではどちらも2014年 7月発行となっていますけど,じっさいには今月25日に書店の店頭にならんでいたようです(わたくしは別々の書店で買ったのでならんだのを見たわけで…

たべものを粗末にあつかうのは許せない

都議会でのヤジで話題になった鈴木都議の事務所に生卵20個ほどが投げつけられたそうです.鈴木都議の言動にたいする批判の意味が込められているのか,あるいは話題の人物にかんしてより多くの話題をふりまいてやろうとする,愉快犯的な行為なのか,よくわか…