2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

細部への執着

吾妻ひでお『地を這う魚 ひでおの青春日記』(角川文庫,角川書店/角川グループパブリッシング,平成二十三年五月)を読みました.作者以外の人物(男性)は動物のすがたであらわされ,ヘンな生き物やロボットがやたらと出てきます.吾妻氏の特質として<シ…

グロい美術史

小池寿子『内臓の発見 西洋美術における身体とイメージ』(筑摩選書 0018,筑摩書房,二〇一一年五月)を読みました.小池氏はダンス・マカーブルなど,ちょっとかわった角度から西洋美術史に取り組んでおられますが,今回の新著では,ずばり,人間の「内臓…

五百羅漢

江戸東京博物館で《増上寺秘蔵の仏画 五百羅漢 幕末の絵師 狩野一信》を見ました.すごいですね,としかいいようがありません.グロいのもあれば,ユーモラスな絵もあります.人物の衣装のこまかいところを入念に描いているのに,感心しました.金泥の効果的…

メイキングのほうがおもしろい(?)

和田慎二『傀儡師リン 13』(秋田書店,平成23年 5月)を読みました.ずいぶん話がふくらんで,登場人物もますます多くなってきました.このさき,どうなるんでしょうか.ストーリーもさることながら,わたくしは今回の「メイキング」をおもしろく読みました…

相当にカゲキな本

田中克彦『漢字が日本語をほろぼす』(角川SSC新書 126,角川マーケティング/角川グループパブリッシング,2011年 5月)を読みました. 著者の専門は社会言語学とモンゴル学で,「日本語にかぎって書くのははじめて」だそうです.標題にしるしたように,そ…

オランダ・フランドル絵画の多様性

Bunkamura ザ・ミュージアムで《シュテーデル美術館所蔵 フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展》を見ました.全95点のうち90点は日本初公開だそうです.歴史画や肖像画や,静物画,風景画などいろいろありました.17世紀のオランダ・フラン…

奇妙なマンガ

かまたきみこ『ドリームイーター 最後の夢』(祥伝社,2011年 5月)読了.この第2巻で完結だそうです.設定がなんとも奇妙で,わかったようなわからないような,ヘンな作品です.うつくしい絵がある一方で,グロテスクな描写もあります.ストーリー展開から…

時代を語る史料

内藤陽介『切手百撰 昭和戦後』(平凡社,2011年 4月)を読みました. 内藤氏は切手や郵便物について,さまざまな角度からの考察をおおやけにされていますが,今回の新著は「日本」の「昭和時代」の「戦後」という期間にかぎって,昭和21年から63年までに発…