2016-01-01から1年間の記事一覧

ことしもっとも印象にのこったもの

ブログの更新をおこたったまま,大晦日をむかえてしまいました.例によっての「ことしもっとも印象にのこったもの」を記して,一年のしめくくりとします. 芝居では十二月文楽公演「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」.劇場へ足をはこんだのは一度だけですので,こ…

紙のいろいろ

LIXIL ギャラリーで ≪WASHI 紙のみぞ知る用と美≫ を見てきました.和紙と聞けば,ふつうはお札や障子紙や錦絵の用紙などを思い浮かべますが,それだけではない,「紙」とはおもえないようなものもある,ということを知らされました.和紙の性質や特徴,作成…

多士済々

杉並区立郷土博物館分館で「文士と画家たちの荻窪 どうしてこんなにたくさんいるの」を見てきました.荻窪駅を中心とする5平方キロほどの地域に居住したことのある文士と画家とを調べあげ,だれがどのあたりに住んでいたかを図示し,人物を紹介して,関連す…

久しぶりの文楽

国立小劇場で『仮名手本忠臣蔵』を見てきました.文楽にいったのは,昨年9月以来です.歌舞伎や文楽への興味が萎えてしまって,見たいという気が起きなかったのですが,今月の文楽公演は大序から十一段目までの通しですので,これならば一見の価値ありとかん…

例によってヘンなマンガ

panpanya『動物たち』(白泉社,2016年12月)を読みました.例によってふしぎな作風のものばかりです.panpanya氏はさかなへの関心がつよいのかとおもっていましたが,今回の本はタイトルにあるとおり,いろいろな動物が出てきます.なかで「猯」と「狢」は…

京都の魅力にせまる(?)

『別冊太陽 京都を知る100章』(平凡社,2016年12月)読了.表紙に「100のキーワードを駆使し、汲めども尽きせぬ、「千年の都」の謎と魅力に迫る」とあります.井上章一氏をはじめとする20数名の執筆者が京都にかかわるあれこれを書いておられます.神社仏閣…

中世と近世の混淆(?)

国立西洋美術館の企画展 ≪クラーナハ展 500年後の誘惑≫ を見てきました.クラーナハは美術史の本では有名な名前ですけど,実物に接するのははじめてです.版画もあれば油彩画もあり,題材もギリシア神話や聖書からとったものもあれば,同時代のひとびとの肖…

マンガに連なる趣向・技法

日比谷図書文化館で ≪江戸からたどるマンガの旅 鳥羽絵・ポンチ・漫画 [後期展示]≫ を見てきました.展示替えがあるというので,前期展もいきたかったのですが,出かけるのがおっくうだったり,いろいろと事情があって,会期終了間近の今日になってようや…

「西洋」を受容することのあれこれ

文化学園服飾博物館で ≪日本人と洋服の150年≫ を見ました.タイトルには「150年」と謳っていますけど,じつはそれ以前,16世紀なかばごろの鉄砲伝来にはじまる西洋の文物の受けいれから,現代までをたどっています.羅紗や更紗といった,それまでの日本には…

庭をめぐる

薔薇が見ごろだという新聞やインターネット上の紹介に惹かされて,旧古河庭園にいってきました.薔薇の種類や量ならば,神代植物公園の数分の一にすぎませんけど,こちらはどっしりとした洋館をバックに薔薇をながめるという独自のおもむきがあります.ゴシ…

骨がいっぱい

切手の博物館で ≪骨・骨・骨≫ を見てきました.「ヒトラーの仮面を持つ骸骨」の切手が冒頭に置かれています.図案が過激すぎるので発行中止になったそうですが,政治的なプロパガンダが旺盛な珍品といえるでしょう.以下,「骨」をテーマとする切手がいろい…

遊園地あれこれ

石神井公園ふるさと文化館で ≪夢の黄金郷「遊園地」 〜思い出のメリーゴーランド〜≫ を見ました.浅草花屋敷と宝塚新温泉からはじめて,近・現代の遊園地をいくつか紹介し,後半では練馬区内の「兎月園」と「豊島園」とにかんする資料を数多く展示しています…

ちょっと変わった美術館

東京黎明アートルームで ≪花下遊楽図屏風と寛文美人図≫ を見ました.ここははじめてのところで,たまたまチラシを入手したのでいってみたんですが,ちょっと変わった美術館だ,というのが正直な感想です.タイトルに謳われている屏風と美人図のほか,肉筆浮…

お囃子とは

杉並区立郷土博物館で ≪祭りばやしのひびき 杉並の祭礼と郷土芸能≫ を見てきました.お祭りといえば,お囃子が付きものですが,「ああ,なんかやってるな」という程度の関心しかなく,その実情は今回はじめて知ったしだいです.杉並区内にはどれほどの神社が…

熟読の価値あり

『山岸凉子画集 光』(河出書房新社,2016年 9月)読了.山岸氏の「本格的な画集」はこれが初めてなのだそうです.『妖精王の帰還』(ブッキング,2007年 3月)や『太陽の地図帳 032』(平凡社,2016年 1月)など,画集にちかいものはありましたけど,初期か…

壮観

埼玉県日高市の巾着田曼珠沙華公園にいってきました.ざっと五百万本の曼珠沙華が群生していて,いまが見ごろだとのこと.すごいですね.ここにははじめて来たのですが,圧倒されました.すでに盛りを過ぎているのか,色がやや褪せたようなのもありますけど…

かなり混雑

東京国際ブックフェアにいってきました.会場内はかなり混雑しており,おちついて本を見るのがむずかしいくらいなのですが,それでも,4冊ほどを選びだして購入しました.ツンドク本が増えるばかりだというのは自分でもわかっているのですけど,止められま…

箔押しのような金と銀がみごと

武蔵野市立吉祥寺美術館で ≪生誕120年記念 小林かいち展≫ を見ました.2004年と2011年にかいちの作品をいくつか見たことはあるのですが,今回は500点以上を一挙公開しており,これほどまとまって見るのははじめてです.絵はがきと絵封筒という,やや小さめの…

装飾への執念(?)

文化学園服飾博物館で ≪世界の刺繍≫ を見ました.「糸と針という簡単な道具で自由に文様を表すことができる刺繍は、古くから世界各地で行われてきました」とチラシの冒頭にあります.そうした「約35か国のさまざまな刺繍を紹介」しています.ひとくちに刺繍…

ある種の美意識(?)

国立歴史民俗博物館の特集展示 ≪戦国の兜と旗≫ を見てきました.2013年秋に橋本麻里氏の『変り兜』(とんぼの本,新潮社)を読んで,写真では知っていたのですが,実物を見るのははじめてです.よくもまあ,こんな兜をつくって着用したものだと,呆れてしま…

幽霊,妖怪,死人,そして自然

太田記念美術館で ≪怖い浮世絵≫ を見てきました.「四谷怪談」などの歌舞伎に取材したもの,九尾の狐や酒呑童子といった妖怪を描いたもの,凄惨な殺しの場面,さらには幕末から明治の天変地異を伝えるものなど,「怖い」といってもいろいろです.なかで,芳…

化け物がいっぱい

江戸東京博物館の企画展 ≪大妖怪展≫ を再度見てきました.今回の見ものは何といっても大徳寺真珠庵本の「百鬼夜行絵巻」です.妖怪たちの躍動感というか,じっさいに生きて動いているような感覚がつたわってきます.のちの「百鬼夜行絵巻」類には,化け物た…

とてつもない「秘密」

清水玲子『秘密 season 0 4』(白泉社,2016年 8月)読了. 暗闇のなかでも,ものを見ることのできる人間がいる.「しかし○○○はハッキリ認識出来ない」.しかもこの能力は遺伝するらしい.「可視光線」という題をもつ season 0シリーズの4冊目はこんな能力(…

40周年

西武池袋本店 別館2階の西武ギャラリーで ≪LaLa 40周年記念原画展 美しい少女まんがの世界≫ を見てきました.「月刊 LaLa に掲載された[・・・]総勢63名の作家による原画270点以上を一挙公開」しています.わたくしが読んだことのある漫画家さんは63名のうち…

涼しい気分になれる

杉並区立郷土博物館分館で ≪世界の貝≫ を見てきました.「世界各地の海で採れた珍しい貝・美しい貝」220点余りを「色の美しい貝/かたちの美しい貝/かたちの奇妙な貝/体の大きな貝」の4種にわけて展示しています.貝ってこんなに色々な種類があるの,と,…

狂気(?)

相模原市の障害者施設で19人が刺されて死亡したというニュースから,「津山事件」を連想し,山岸凉子氏がこの事件を題材とする作品を書いていたはずだとおもい,手元の本にあたったところ,『山岸凉子スペシャルセレクション V 天人唐草』(潮出版社,2010…

楽しい地獄(?)

国立公文書館で ≪ようこそ地獄、たのしい地獄≫ を見てきました.チラシに「古代インドを起源とする「地獄」は、仏教や道教と共に日本へ伝来して以降、土着の信仰などと混ざり合い、独特のイメージを形成しました。本展では特に平安時代から室町時代にかけて…

浮世絵をさらにパロディー化する(?)

川崎・砂子の里資料館で ≪笑いの名所絵 歌川広景「江戸名所道戯尽」≫ を見てきました.広景は(名前からして)広重の門人ですが,生没年不詳で,どれほどの作を残したのかもよくわからないそうですけど,この「江戸名所道戯尽」はなんとも皮肉でおもしろい作…

ことしに入って4冊目

流水りんこ氏の活躍が目立ちます.ことしになってから『オカルト万華鏡 5』『流水さんの霊能者行脚』『昭和のこども 6』が刊行されたのにつづいて,『流水りんこのアーユルヴェーダはすごいぞ〜!』(主婦と生活社,2016年 7月)が出ました.どれもエッセイ…

深刻で重苦しくて,しかもコミカル

TONO『砂の下の夢 空の下の緑 2』(秋田書店,平成28年 7月)読了.標題に記したとおり,描かれるエピソードはどれも人の情念の理不尽でやりきれぬおもいに満ちているのですけど,それでいて,おもしろさを感じさせられる,という,ちょっと不思議なところが…