2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

美術史の本?

岡田温司『デスマスク』(岩波新書(新赤版)1341,岩波書店,2011年11月)読了.古代ローマからはじまって,王や教皇や,近世・近代のひとびとの「デスマスク」を取りあげています.といっても,この「デスマスク」なるものには,ひとすじなわではいかない…

探究のおもしろさ

内藤陽介『年賀状の戦後史』(角川書店/角川グループパブリッシング,二〇一一年十一月)読了.内藤氏は切手やハガキなどの郵便物をさまざまな角度から考察されていますけど,今回の本では「年賀状」を対象に据えています.「新年に賀詞を交換する風習はわ…

ヌードというやっかいなもの

東京国立近代美術館で《ぬぐ絵画 日本のヌード 1880-1945》を見ました. 明治維新のあと,文明開化の世になって西洋の文物がいろいろともたらされたなかに,裸体画というのもあったんですが,こればかりは,西洋崇拝の風潮にもかかわらず,かんたんには受け…

詮索することのおもしろさ

杉並区立中央図書館で「講座 知の散歩道 『東海道四谷怪談』の『四谷』はどこか?」を聞きました(講師は光延真哉白百合女子大学講師).「四谷怪談」の「四谷」は,現在のJR四ツ谷駅ちかくかと(ばくぜんと)おもってしまうのですけど,これがじっさいど…

技術と美意識の融合

町田市立博物館で《江戸切子 日本のカットガラスの美と伝統》を見ました.初期の切子制作は「金属製の棒状工具などに金剛砂を水でつけ、 手動でガラスを削って行われていた」らしいのですが,「明治に入ると[・・・]回転工具によるカットの技法が伝えられ」,…

さいきん読んだ本

小野友道『いれずみの文化誌』(河出書房新社,二〇一〇年九月) 坂東三津五郎『三津五郎城めぐり』(三月書房,二〇一〇年十一月) 赤瀬川原平『個人美術館の愉しみ』(光文社新書 546,光文社,2011年10月) なんとも脈絡のない読書をしている,と,われな…

「窓」をめぐる考察

浜本隆志『「窓」の思想史 日本とヨーロッパの建築表象論』(筑摩選書0027,筑摩書房,二〇一一年一〇月)を読みました.浜本氏は紋章とか指輪とか錠前といった,モノにそくした書物をかずおおく上梓されていますが,今回の本では「窓」をとりあげています.…