じつに多種多様

サントリー美術館で ≪天才陶工 仁阿弥道八 のびのびと、まじめに。≫ を見ました.江戸時代後期,京都を中心に活躍した陶工だそうです.こういうひとがいたなんて,わたくしは名前すら知りませんでした.茶道具や食器,置物など数多くの焼き物を残したようですが,「展覧会においてまとまって公開される機会は決して多くはありませんでした」とのこと.その作品は,じつに多種多様で,圧倒されます.「のびのびと、まじめに。」というサブタイトルが示すように,先人に学ぶと同時におのれの創作意欲をたっぶりと込めてもいます.黒釉を大胆にもちいた冨岳文黒茶碗(cat. nos. 46-47)なんかはモダンな感覚にあふれており,雪竹文手鉢(cat. nos. 97-100)は把手部分を執拗に(といいたいくらいに)細竹の形態であらわしています.ほかにも,興味深い作がいろいろありますが,「彫塑的作品」として出品されているものを,わたくしはとくにおもしろく見ました.「色絵狸炉蓋」(cat. no. 133,170)は傑作です(笑).