狂気(?)

相模原市の障害者施設で19人が刺されて死亡したというニュースから,「津山事件」を連想し,山岸凉子氏がこの事件を題材とする作品を書いていたはずだとおもい,手元の本にあたったところ,『山岸凉子スペシャルセレクション V 天人唐草』(潮出版社,2010年 4月)に『負の暗示』が収録されていたので,これだけを読んでみました.人名は多少変更して仮名としているようですが,犯人の生い立ちや性行や犯行の実態は事実そのままを描いているようです.1時間足らずの間に「即死者28名 重傷者3名(後に2名死亡) 負傷者2名」を出したというのですから,すごいですね.こんな「日本犯罪史上にも稀な凄惨な事件」を引きおこしたのは,狂気とでも呼ぶほかない犯人の異常な性格にちがいありませんが,そういっただけでいいのか,と,疑問も感じてしまいます.当時の社会において一般的だった考え方や習俗,たとえば徴兵検査での「丙種」が最悪の不名誉とされたこととか,肺病に対する村八分的な「いじめ」といったことも,こうした「犯罪」を生みだす要因だったのではないでしょうか,こんにち,世界中で自爆テロが横行しています.これを(「普通」の人間とはちがう)「性格異常者」によるものだ,と断じてしまうのは,「狂気」というものがなぜどうして発生するのかという問題を無視して済むとおもっている,「普通」のひとの傲りではないのか,と,わたくしなどはおもってしまうのです.あるいは,やはり問題となっている「難民」も,かれらは好きこのんで難民になっているのではありません.ISなどの特定の国(集団)が「難民」をつくりだしたのでもありません.世界各国の,それぞれのオモワクや利害によるテンデンバラバラな行動が「難民」を生みだし,自爆テロを誘発しているというべきです.現在,もっとも懸念されるのはアメリカの大統領選挙です.トランプ氏が大統領にでもなったら,全世界的な規模でのさらなる「狂気」が起こる可能性が大である,といわざるをえません.