桜見物

桜を見物してきました.といっても,実物ではなく絵です.練馬区 牧野記念庭園記念館での企画展 ≪桜花図譜と牧野富太郎 百年の時を越えて今よみがえる≫ では富太郎が企画したものの完成にはいたらなかった『日本桜花図譜』の原図16点を展示(初公開)しています.『日本桜花図譜』は大正末期に3点だけが印刷刊行されたそうですが,東京国立博物館に「桜原稿」という題で所蔵されていた16枚の絵が『日本桜花図譜』のための原図であったことが判明したため,今回の公開にいたったとのこと.絵は山田壽雄という方が富太郎の指導のものに制作したそうで,この方の経歴などくわしいことはわかっていないようです.おなじく富太郎の指導のものに桜を描いた川崎哲也というひとの作品も展示されています.どの絵もじつに綿密に,そして生き生きと描かれています.まえにも書いたことがありますけど,植物画には「絵画」としての要素と「記録」としての要素が共存しているところに独自の魅力があります.色もかたちも様々な桜を「鑑賞」できたことは,本物の桜見物よりも意味深いことといえるかもしれません.