こんな人がいたの(?)

国立科学博物館で ≪南方熊楠 100年早かった智の人≫ を見てきました.熊楠のなまえは知っていたんですが,著書を読んだことはなく,具体的にどんな業績があったのかも知りませんでした.今回の展示では生涯をたどりつつ,為したことをさまざまな資料で示しています.小学生のころに『和漢三才図会』の筆写をはじめた,というのですからすごいですね.英国留学中に大英博物館でいろいろな文献類を筆写したその一部も展示されています.びっしりと細かい字で書きこまれており,イラストも載せています.しかも,読むと同時にフィールドワークもおこなっており,ノートに標本類を貼りつけたりもしています.そうした活動の意味付けや評価はわたくしなんかにはとうていできかねますが,チラシに「南方熊楠は、森羅万象を探求した「研究者」とされてきましたが、近年の研究では、むしろ広く資料を収集し、蓄積して提供しようとした「情報提供者」として評価されるようになってきました」とあるのに,目がとまりました.資料の収集と研究の公表とのあいだに,どうやら今日のコンピュータによる処理方法に似たところがあるようなのです.資料をその性質などで区分してグループ分けし,それぞれの資料群の関係性を注記して図示する,ということが論文執筆の前段階としておこなわれていたらしいんですね.「100年早かった智の人」というサブタイトルはこのあたりを指しているかと,おもわれます.