こんな人がいた

今日は杉並区立郷土博物館 分館で ≪江渡狄嶺資料展≫ を見ました.狄嶺とは「大正から昭和初期にかけて高井戸を拠点に活動した、青森県三戸郡五戸町出身の農業思想家」だそうです.東京帝国大学に進んだものの,「百姓の生活というものが一番正しいものである」との信念から中退して,小作百姓になったとのこと.「1913年、高井戸村字原(現・杉並区高井戸東)に、自らの哲学を実践するための農場「三蔦苑(さんちょうえん)」を開設」し,「64歳で没するまで、この農場を拠点に独自の思想活動を展開し、彫刻家で詩人の高村光太郎や小説家の中里介山など多くの著名人たちと交流した」というのですが,わたくしはその名さえ,まったく知りませんでした.ヘンなひと(失礼!)がいたものですね.大正末期に外国の農業事情を視察するために渡米したものの,日本人差別の風潮などから早々と帰国してしまったそうですが,今回の展示では「大正期の海外渡航」として,そのときの諸資料も展示しています.パスポートや旅行会社のパンフや地図など,よくもこんなに残しておいたものだと,いささかあきれるほどですが,現代とはことなる風潮や事情を明らかにしてくれる貴重なものとして,おもしろく拝見しました.