大胆な色とデザインにおどろく

たばこと塩の博物館で ≪MOLA パナマの先住民クナ族の衣装と意匠≫ を見ました.パナマと聞けばパナマ運河をおもいだすくらいで,他にはまったく知識がなかったのですが,この共和国にはクナ族という先住民が暮らしているのだそうです.その独自の衣装を紹介しているのがこの企画展なのですけど,まったくおどろかされました.色のちがう布をかさねて,上の布に描いた図の一部を切りとってその縁を糸でかがって下の布をのぞかせ,ときにはさらの別のかたちに切りとった布を縫いつける「多重アップリケ」という手法によるものです.いったいどれほどの手間と時間がかかっているのでしょうか.そこに描かれる図もすごいというほかありません.植物文様もあれば動物もあり,人物(のしぐさなど)を描くのもあります.植物は左右対称に描かれているようですけど,厳密に見ると,かならずしも対称ではありません.こまかい部分に変化をつけて,見るものの関心を引きよせる工夫がこらされており,ほかにも,蛇を咥える鳥とか,「親亀のうえに子亀を乗せて〜」とむかしのコミカルソングをおもわせるようなものもあります.強烈な色彩(赤系統のものが多いです),デフォルメされた形,細部の綿密な意匠など,はじめて目にしたという事情もありますが,そのインパクトに圧倒されました.