貴重な史料

東京都水道歴史館で ≪上水記展 上水を描く−「樋線図」の世界≫ を見てきました.十年ほど前にも見ているはずなのですが,ほとんど記憶がなく,こういうものだったのかと,認識をあらたにさせられた次第です.第二巻の絵図がすごいですね.羽村あたりの取水堰の光景を「縦135.5cm×横514cmの大紙面に精緻かつ鮮やかに描い」ています.江戸という大都市にとっては,そこに住む人々のために「水道」を確保することがきわめて重要な課題であり,そのためについやされた努力も莫大なものであったはずですけど,現代のわたくしたちはそうしたことを忘れている,というか,あまり意識していません.この「上水記」は一般的な刊行物ではなく役所の記録として残されたものですが,だからこそ,史料としての価値があり,また,わたくしたちの意識を呼び覚ますものとしての価値もあるものとおもわれます.昨今の官公庁の「記録」の改竄や隠蔽(という醜態)を目にするにつけ,ますますこの史料の重要性を痛感させられます.