少女マンガの極致

大矢ちき『回転木馬』(小学館クリエイティブ小学館,2011年 3月)を読みました.
『りぼん』1975年 4月号から 7月号まで4回にわたって連載されたものだそうです.いかにも少女マンガらしいストーリーや,装飾過剰な絵,斬新なコマ割り,コマのワクを無視する重層的な映像,モノローグの多用など,マンガ技法のあれこれを自在に駆使しています.当時の『りぼん』の読者はこうした作品をふつうに享受していたのでしょうか.だとしたら,そのリテラシーの深さも,たいへんなものだったというほかありません.これからのマンガ研究においては,作者の技法と同時に読者の受けとめ方をも考察する必要があるのではないでしょうか.