美術史(?)

池間 草『美男美術史♥入門 女子のための鑑賞レッスン』(美術出版社,2011年 4月)を読みました.「美男美術史」というタイトルには,どこかあぶなく,そして滑稽なニュアンスがあります.そもそも「美男」などというものが「美術」の内容(対象)となりうるのか,と,おもってしまうんですが,この本は西洋と日本とに分けて「美男」のあれこれを紹介・解説しています.古代ギリシアの彫刻に刻まれた神々や英雄,ルネサンス以降の絵画にあらわれた聖人や実在の人物,日本の文芸上の主人公など,さまざまな「美男」を(著者の主観にもとづいて)とりあげており,その選択と評価とにすべて共感するわけではないのですが,おもしろくながめることができます.「第1章 西洋美男」に付された「鑑賞講座」の「Lesson 3 象徴・神話美男リスト」(pp. 74-75)はギリシア神話の登場人物と,モノがになっている意味を簡潔に記した,豆辞典といってもいい有益な記述になっています.