技術と美意識の融合

町田市立博物館で《江戸切子 日本のカットガラスの美と伝統》を見ました.初期の切子制作は「金属製の棒状工具などに金剛砂を水でつけ、 手動でガラスを削って行われていた」らしいのですが,「明治に入ると[・・・]回転工具によるカットの技法が伝えられ」,以後,日本の職人たちによる作品がいろいろと生みだされます.本展示でははじめに19世紀の「日本の切子の黎明期」のものを示し,ついで,比較検討の意味をこめてか,おなじころのヨーロッパの作品を紹介しています.なかでは,金彩をほどこしたボヘミアのゴブレットがみごとです.そして第三部では「大正・昭和のカットガラス」を展示します.この部分が本展のメインで,全体の8割ほどを占めているでしょうか.鉢や皿やタンブラーやリキュールグラスや,さまざまなものがありますけど,デザインと色彩の多様さにはまったくおどろかされます.昭和前期のものなど,きわめてモダンです.できれば購入して使ってみたいですね.最終の第四部は現代の職人による一点ものをいくつかならべてあります.おそろしく手のこんだ作,アシンメトリーをとりいれた作など,独創的な芸術性を感じさせますが,失礼ながら,これらは買って使ってみたいとは,思いません(笑).