自然の猛威

杉並区立郷土博物館 分館で ≪発見された明治三陸津波の古写真 石黒敬七・敬章コレクションより≫ を見ました.明治29年に起きた三陸津波の被災状況をつたえる写真を展示しています.明治時代の写真師として有名な中島待乳の遺した写真台帳がもとになっているそうで,じっさいに撮影したのは待乳の弟子たちのようです.写真の余白に撮影場所や「被害戸数・・・戸、死者・・・名」といった説明書きが付されていて,資料価値もたかいとのこと.写真のほか,待乳の使用した機材なども参考として展示されていました.畳半畳くらいの大きさがあるでしょうか,大型のカメラがすごいですね.こんなものをかついでいって撮影したことに,感動すらおぼえます.昨年の東日本大震災のときの,陸に打ちあげられた船の映像が衝撃的でしたけど,今回の「116年前の災害を伝える古写真」にもそうしたものがふくまれていて,ほとんど不条理というかシュールというか,ありうべからざる光景を見せつけられると,まったくことばをうしない,「自然の猛威」という陳腐な表現しかできないんですけど,これがいつわらざる感想です.