ちょっと変わった企画展をハシゴ

学習院大学史料館で ≪近代日本の学びの風景 学校文化の源流≫ を見ました.明治初期にはじまる学校制度(とくに初等教育)にかかわるさまざまな資料を展示しています.学年別の授業とか,時間割によって科目を割りふるとか,生徒たちのまえに黒板を置くといった,わたくしたちがあたりまえとおもっている授業風景は,明治になって,江戸時代の寺子屋とはまったくちがう原理のもとに導入されたらしいのです.掛図や実物標本をもちいた授業,運動会や遠足といった行事,宿題に試験,表彰状やメダルの授与など,学校教育にまつわるあれこれの展示は,へーむかしはこうだったのかと,けっこうおもしろく見ることができます.ランドセルも,「明治期に学習院初等学科において誕生した」とか.そしてとくに興味深かったのが「特集陳列」として展示された各種の「校友会雑誌」です.明治20年代から昭和前期まで,全国各地の学校で発行された校友会雑誌は本展のリーフレットに「宮澤賢治芥川龍之介が中学生のころに投稿していたように、文学者の初期の作品が掲載されることもあり、文学的価値も高い。」とあるとおり,資料として貴重なものといえるでしょう.「表紙を通覧するだけでも各学校の個性や時代背景を窺うことができる。」ともあり,まさにそのとおり,モダンなものもあれば,軍国主義的な絵をあしらった表紙もあります.これらを蔵している学習院大学史料館というのは,もっと知られていいんじゃないでしょうか.もっとも,わたくしが訪問したのもこれが2度目なんですが.ちなみに,入場無料です.
さて,目白から山の手線で渋谷に出て,たばこと塩の博物館で ≪江戸の判じ絵 これを判じてごろうじろ≫ を見ました.なぞなぞというか,シャレというか,ものやことばをあらわすのに絵をもってする,というなんともふしぎな「作品」(?)です.象と金太郎の上半身を描いて「ゾウキン(雑巾)」だなんて,ばかばかしい気もしますけど,むかしのひとがこうしたものを創りだしていたことには,やはり感心させられます.判じ物の内容というか対象も多様をきわめており,役者の名を示すものや,地名(東海道五十三次など)やもの(道具類など)や歌舞音曲の題名など,じつにさまざまです.経文を絵であらわす「観音盲目和讃(絵文字経)」には,びっくりしました.なお,「判じ絵」に関連して,当館2Fのミニ企画コーナーでは「文化文政期の謎染」が描かれた浮世絵を展示しています.