坂田靖子のふしぎな世界

坂田靖子『サカタさんのペット大好き 坂田靖子よりぬき作品集』(ジャイブ,2012年10月)を読みました.冒頭におかれた「愛しのナンシー」がもっとも古くて1986年の作品.あたらしいところでは『ねこメロ!』に発表した「ネコスイーツ」が2009年と,20年以上にわたって描かれた作品をあれこれおさめています.表題のとおり,ペット(とはいえないようなものもいますけど)が出てくる点が共通しています.が,どれもちょっと変わったというか,ヘンというか,ふしぎな味わいのものばかりです.坂田氏の世界というのはいったいなんなんだと,いつも困惑させられますが,明確にいいきることができないようなところにこそ,独自性があるのかもしれません.それと,ことばにかんするセンスがバツグンですね.たとえば「猫ぼん Vol. 1」で「執事のレッドさん」が「レッド執事」ですと名乗るところの「執事」に「バトラー」とルビが振られているのに,笑ってしまいました.