実用品になり,工芸品になり,土産物にもなる

事情があってカキコミが遅れてしまいましたが,昨20日大田区立郷土博物館で ≪特別展 懐かし うつくし 貝細工≫ を見ました.チラシや図録のはじめに「海に囲まれたわが国では、貝は身を食べるだけでなく貝殻も長きにわたり利用してきました」とあります.まさにそのとおり,縄文時代には貝は刃物として,あるいは容器として,また縄文土器の模様をつけるためにも使われたりしたらしいんですね.奈良・平安になると螺鈿がおこなわれ,さらに青貝細工とか芝山細工といった工芸品があらわれてきます.わたくしは,青貝細工というのは螺鈿のことだとおもっていたんですが,じつはちがうようです.もっとも,図録の解説を読んでも,どうちがうのか,よくわかりません.芝山細工は,たばこと塩の博物館でまえに見たおぼえがあります.貝を素材として使うのは螺鈿などとおなじですけど,貝そのものを貼りつけていることをはっきりと見せているのが特色だとおもわれます.そして,貝を用いたさまざまな細工や土産物.江の島の土産物に貝屏風というのがあったというのは,はじめて知りました.木で枠をつくったかなりちゃちなミニチュア屏風に花鳥風月などを貝で描いて(貼りつけて)います.折りたためば薄くて持ち運びやすくなるので,けっこう繁盛したらしく,貝屏風がかたすみに描かれた浮世絵も展示してありました.貝細工による土産物もじつに千差万別で,貝だけで作ったもの,木の人形などと組みあわせたもの,伝統的な題材やモダンなものなど,いろいろあって,どれもおもしろく楽しんで見ることができました.