よくぞ公開してくれた! 興味深い資料

県立神奈川近代文学館で ≪添田啞蟬坊・知道展 明治・大正のストリート・シンガー≫ を見てきました.ふたりの生涯と活動をさまざまな資料によって示しています.演歌本の実物や書籍,原稿,書簡,むかしの写真など.壁面には代表作のいくつかの歌詞を張り出しており,別室で歌を聞くこともできます(啞蟬坊と知道の肉声は残されていないようですが).なお,本展は3部構成になっており,「第3部 啞蟬坊・知道と現代」では高田渡氏やなぎら健壱氏などかつての演歌の衣鉢をついで活動している(いた)ひとたちをとりあげて紹介しています.そういえば,東日本大震災のあと,どこだったかの被災地で「復興節」をうたっているグループの映像をyou tubeで見たおぼえがあります.「復興節」にはひとびとを元気づける要素があるんでしょうか.
この展示は,むかしこういうひとがいたんだ,ということをおしえてくれる貴重な企画です.ひとりでもおおくの方に見てほしいですね.図録がつくられていないのが残念です.それと,ふれられていない著作などもありますので,くわしいビブリオグラフィーを載せている本を紹介しておきます.木村聖哉添田啞蟬坊・知道 演歌二代風狂』(シリーズ民間日本学者6,リブロポート,1987年 3月).