中原淳一の活動とその背後

昭和館で ≪中原淳一の生きた戦中・戦後 〜少女像にこめた夢と憧れ〜≫ を見ました.チラシに「本展は、生誕100周年と没後30周年を記念し、これまであまり紹介されることがなかった特に戦中・戦後の活動にスポットをあて、彼の業績を紹介します。また、戦地への慰問品や、スタイル画から再現した洋服と当時の服装を併せて展示するなど、戦中戦後の世相をテーマを設けて展示します」とあるように,中原淳一の活動そのものよりも,その背後の事情への関心のほうがつよい企画であるようです.だからこそ,<昭和館>がこの展示をおこなった意味があるのでしょう.(中原淳一の世界を示すだけなら,三越ギャラリーの企画展などがありましたから).今回の展示では「参考」として出品された資料のほうが,おもしろかったくらいです.戦地への慰問品のなかに淳一の絵がデザインされた絵はがきがあったなんて,意外な気もしますが,こんなところにも当時のひとびとの心情をうかがうことができるようにおもえます.戦後のカストリ雑誌や「ニセジュン」と呼ばれたマガイモノまで展示しているあたり,出品数はすくないながら,かえって,ユニークな価値のある企画展示だといえるでしょう.