すでに散りはじめていますが

飛鳥山公園にいってきました.ことしは梅の開花がおくれていたのに,さくらは逆に早咲きで,オマケにあすとあさっては台風なみの天候との予想があるせいでしょうか,公園内におおぜいの花見客があふれていました.といっても家族づれなど健全なひとびとが多く,酔客は(ほとんど)見かけません.むかしから花見の名所とされており,園内にはいろいろな石碑もあって,風情を味わうことができました.ただし,わたくしが王子くんだりまで出かけていったのは北区飛鳥山博物館の ≪ボンジュール、ジャポン ゆかしくカワイイ、和のかたちと風景≫ を見るためです.「開館15周年記念春期企画展」であると同時に「2012年10月、北区滝野川に全面移転した東京国際フランス学園の正式開校を記念し企画されたもの」とのことで,日仏交流のあれこれを展示しています.幕末・明治に日本をおとずれたフランス人たちの紀行文や日本を紹介する書籍類,海外に輸出された工芸品,ジャポニスムの影響下にあったファッション・プレートなどにくわえて,「フランス語学の先駆者・村上英俊」にかんする資料,さらには現代日本のポピュラー・カルチャーへの(フランス人たちの)関心まで,多彩な内容におどろかされました.とくに興味深かったのがエメ・アンベールの『幕末日本図絵』に載せられたイラストで,『江戸名所図会』や『東都歳時記』の挿絵を利用しながらも,遠近法や視点に変更をくわえたり,細部を省略するなどの処置をおこなっているのだそうです.原画と比較すると,ずいぶん印象がちがいます.異文化をうけいれるときには,異文化の形態や内実をそのままに受容するのではなく,うけとる側の無意識(?)の選択がはたらいている(らしい),ということを知ることができたようにおもいます.