雑学のおもしろさ

橋爪紳也(編著)『大阪府謎解き散歩』(新人物文庫,中経出版,2013年 4月)読了.こんなシリーズが出ていたなんて,知りませんでした.巻末の広告には「「謎解き散歩シリーズ」全都道府県完全制覇!」とあって,「滋賀県」は2013年 5月刊行予定だそうですが,北海道から沖縄までの「謎解き散歩」がなされているようです.東京都だけは2分冊で「23区編」と「武蔵野・多摩・島嶼編」に分かれているとのこと.わたくしが読んだのはこの『大阪府〜』だけで,橋爪氏の著書だというので取りよせてみたんですが,橋爪氏は「はじめに」という序文を寄せているだけで,執筆は「「なにわなんでも大阪検定」の1級および準1級合格者や、街歩きのアテンドをされているプロ・ガイドの皆さん」によるそうです.「風土・地理編」とか「歴史編」とか5章にわけて大阪各地のあれこれこまかいことを記しています.そんなのを知ったところでなんになるんだ,という批判もあるかとはおもいますけど,やはりトリビアなことがらには,それなりのおもしろさがあって,つい読まされてしまいます.多彩な話題のうち,「大阪天満宮の十二支方位盤には鶏(酉)がいない?」という項(pp. 210-211)を引いておきます.「大阪天満宮の表門の天井」にかかっている「極彩色の方位盤」に浮き彫りで描かれている動物のうち,「西の「酉」は通常なら「鶏」であるところ、なぜか「鳳凰」になっている」ことについて,菅原道真の故事によるとして,河内で詠んだ和歌をあげていますが,それを「鳴けばこそ別れも憂けれ鶏の音の なからん里の暁もがな」としています.浄瑠璃の詞章とはちがいがありますが,はたしてどちらがただしいのでしょうか.