そらあすか氏に感化されたのでしょうか

二木謙一・須藤茂樹『ビジュアル選書 戦国武将の肖像画』(新人物往来社,二〇一一年一月)という本を図書館で見かけ,借りだして読んでみました.「肖像画をめぐる謎」と題する「はじめに」はいわば総論で,<肖像画>というものについてのあれこれを語っています.生前に描かれた「寿像」と,死後に作成された「遺像」とがあり,「遺像」も「初七日など没後間もない時期に描かれたものから、その像主の関係者がまったくいなくなり百年以上たった百五十回忌に描かれたものまで、その年代幅は広い」(p. 6)とのことで,さらに,何のために描かれるのか,どのような姿で描かれるのか,など,<肖像画>にはたんなる絵画としてだけではない,背後の読み解きが要請される面が多いらしいのです.以下,「第1章 着衣で読み解く肖像画の世界」(この章のみ二木謙一氏の執筆)はいろいろな着衣を解説し,つづく「第2章 戦国武将の肖像画」と「第3章 戦国女性の肖像画」では具体的な人物をとりあげて,像主について,その着衣について記しています.「第1章」ははじめに「束帯姿」を掲げ,「よく衣冠束帯などという言葉が使われるが、誤解である。「束帯」と「衣冠」は別であり、たとえていえば、束帯はモーニング、衣冠はダブルの略礼服ほどの相違がある」(p. 14)としていますけど,わたくしみたいなシロートにはどうちがうのか,よくわかりません.もっとも,「直衣・狩衣姿」,「大紋・素襖姿」,「肩衣袴姿」,「羽織袴・着流姿」とうつっていくのを見れば,徐々に簡略化されていることは理解できます.ある時代の普段着がつぎの時代には礼装となる,というのが服飾史の通例だ,という説をなにかで読んだおぼえがありますが,そういう傾向はここにもみとめられるようです.