文楽人形のすごさがわかります

池袋の<あうるすぽっと劇場ホワイエ>というところで河原久雄氏の写真展 ≪近松門左衛門の世界≫ を見てきました.「第三回」とあるので,これまでにもおこなわれていたのでしょうか.たまたまこの催しのことを知ったのでいってみたんですが,すばらしいですね.人物の感情というか内面というか,あるいは決意とでもいえるようなものが人形によってこれほどまでにつよく表わされているのに驚かされました.また,そうした瞬間をとらえた河原氏の「読み」というか「判断」というか,たんなる技術力だけではない撮影行為にも感動させられます.展示されている30数点の写真はどれもが登場人物の存在価値(?)をうったえてくる,迫力のあるものばかりで,甲乙つけがたいのですけれども,とくに印象にのこったのは「女殺油地獄」の与兵衛です.頬かむりの顔の右半分は陰になっているのですが,そこにこの人物のこころの闇がかくされているかのようで,戦慄すらおぼえました.この写真展は歌舞伎・文楽に関心のある方々へおすすめです.6月10日まで開催とのことですので,ぜひいってみてください(入場無料です).