ヘンな趣味(?)

橋本麻里『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』(とんぼの本,新潮社,2013年 9月)という本を書店で見かけて,買って読んでみました.変り兜というものがあることは,辻 惟雄氏が『奇想の図譜』(ちくま学芸文庫筑摩書房,二〇〇五年四月)でとりあげ,そらあすか氏も『戦国武女子、参る!』(メディアファクトリー,2009月 9日)と『マンガ・日本人なら知っておきたい!戦国武将、ゆるイイ話』(講談社,2011年10月)で紹介されていたので知っていましたが,今回の本はよりくわしく,カラー図版でさまざまな兜を紹介しています.大きさも意匠(デザイン)もいろいろ.鬼面ひとを脅すものが多いんですが,たんに奇をてらっただけではなく,神仏の加護をねがうとか,縁起をかつぐといった意味がふくまれているらしいんですね.が,こんにちの感覚からすれば悪趣味としかおもえません.それでも,そうした「悪趣味」には,けっこうおもしろい面があって,どうしてこんな兜をおもいついたんだろうか,とか,本当にこれを身に着けて戦ったんだろうか,など,いくつもの疑問(や興味)をひき出してくれます.兜の名称をすべてフリガナ付きにしているのもいいです(おかげで,どう読むのか,わかります).戦国時代について,甲冑についての親切な解説もあって,便利な本といえます.