よくまあこんなにつくったものだ

永久保存版 日本の銅像 完全名鑑』(廣済堂出版,2013年10月)というムックを買って読んでみました.まえにも書いたことがありますけど,わたくしは銅像などというものには,否定的なおもいをいだいています.肉体を誇示する<銅像>と日本人の伝統的な感性とは相いれないとおもわれるからです.事実,<銅像>がさかんになるのは明治以降です.そして現在,日本全国に5000体以上ある,とされる銅像から950体をえらんでオールカラーで掲載しているのがこの本です.「銅像のすべてがこの1冊に!」「史上初」などという文字が表紙におどっています.冒頭には「日本の銅像名作選」として19か所を挙げ,以後は都道府県別に各地の像を紹介していますが,「ジャンル別銅像図鑑」というページもいくつか挿まれ,「アニメ・マンガ編」や「スポーツ編」「動物編」など,ホントになんでもありだなと,おもわされます.ゆかりの地に建立するのが本来なのでしょうけど,なぜこのひとがこんなところに,と,疑問をかんずるものもあれば,わたくしなんかがまったく知らない人物もいます.銅像には否定的だと書きましたが,これだけいろいろなものを見ていくのは,けっこうおもしろいですね.巻末に「銅像ヒストリー」と題する文章があり,「銅像の立地にも変化が起きている。今までの手の届かない場所にあった「鑑賞用銅像」から、「触れることのできる銅像」へと変化が起こっているのだ。[中略]高知県にあるシェイクハンド龍馬像は、握手できることがウリになっている。」(p. 169)と,書かれています.そのつぎにはメーカーに取材したうえでの銅像の造り方を解説したページがあり,「価格の目安」が掲載されていますけど,ほぼ等身大の2尺3寸の胸像で2,205,000円,おなじく等身大の6尺の全身像だと7,350,000円もかかるのだそうです.こんな費用をかけて銅像をつくろうとするひとたちがおおぜいいるなんて,やはりわたくしには理解できません.