ことしもっとも印象にのこったもの (その他)

歌舞伎・文楽については,語る資格がないので記しません.劇場に足をはこんだのが,国立小劇場に2度だけで,歌舞伎はまったく見ていないのですから,ファン失格です.どうしてこんなことになってしまったのかというと,興味をおこさせるような公演が少ない,というのが主原因です.とくに,演目のならべ方がひどいんですね.ことしの歌舞伎学会・秋季大会の2日目の座談会のあと,季節感を無視した演目がおおいとの批判が会場から出ていましたけど,まったくそのとおりです.歌舞伎が日本の伝統芸能であるとするなら,その「伝統」には「季節感」というものもふくまれるはずで,これを考慮にいれることは歌舞伎興行の基本として尊重されるべきです.もっとも,季節を特定できない演目もある,とか,わざと季節に反した出し物をすることもあるので,さほど季節感に拘泥しなくてもいいのではないか,との意見もありましたが,歌舞伎にとって,とくに若い観客のためには,季節感を無視した演目の立て方は遠慮してほしいものです.それと,<一番目 時代,中幕 舞踊,二番目 世話> という狂言建てもかなりおかしくなっているようです.
美術については,これもわたくしの見たのはごくわずかで,しかも偏りがあるのに気づきました.が,そのなかからあえて,国立新美術館の ≪貴婦人と一角獣≫ と,府中市美術館の ≪かわいい江戸絵画≫ とをあげておきます.後者では,耳鳥齋という絵師を知ったのが収穫でした.
マンガでは,ことしの新刊で,しかもわたくしがはじめて読んだ作家のものとして,『そらあすかの まんが❤日本史BLばなし』(新書館,2013年 5月)をあげます.