馬あれこれ

学習院大学史料館展示室で ≪馬 その歴史と学習院≫ を見ました.学習院は「日本で最初に学生馬術教育が行われた学校」なのだそうです.そうした所縁のためか,今回の企画展は「第I章 アジアを駆ける馬/第II章 中・近世史料にみる馬/第III章 学習院と馬とのかかわり」の三部構成で,馬にかんする歴史的経緯や話題などを展示・紹介しています.分量的にもっともおおいのは「第III章」で,昭和26年,皇太子(今上天皇)が馬術競技に参加されたときの写真なんかもあります.が,わたくしがもっとも興味をひかされたのは「打毬」という競技(?)です.先端が小さなネットになっている杖を用い,(紅白にわかれたチームの)騎乗者たちが地上に置かれている毬をすくいあげて,それをゴール(というか,丸いワク)に投げいれて,数がおおい方が勝ちになる,というものです.こんなゲームがあるなんて,はじめて知りました.もっとも,ゲームなどといってはいけないのかもしれません.学習院のほかでは,東北の神社で神事として伝えられているというのですから.他に,興味深く見たのは乃木希典の愛馬「寿号(すごう)」です.いわゆる「水師営の会見」のさい,ステッセルから贈られた馬だそうです.これも,はじめて知りました.が,念のため『日本唱歌集』(岩波文庫)を繙いてみたところ,全九番のうち七番と八番に「両将昼食共にして、なおも尽きせぬ物語。『我に愛する良馬あり。今日の記念に献ずべし。』」「『厚意謝するに余りあり。軍のおきてにしたがいて他日我が手に受領せば、ながくいたわり養わん。』」とあるのを見いだしました.けっこう有名なエピソードだったのかもしれません.ただし,わたくしが聴いたレコード(やCD)では冒頭の一・二番くらいしか歌われていないので,七番・八番の歌詞まで知っていたひとがどれほどいたのかは不明です.それにしても,本はちゃんと読んでおくべきですね.わたくしみたいに,やたらと買いこんでおきながらろくすっぽ読んでいないものにとっては,慚愧の至りです.