絵はがきあれこれ

石神井公園ふるさと文化館で ≪絵はがきの魅力 −時代の「生き証人」−≫ を見ました.パンフ冒頭の「開催にあたって」に「絵はがきは、明治の中頃から私製はがき(書簡)の一種という目的に加え、その時々の出来事や観光地の様子を、写真や絵を通じて世間に広く伝える役割もはたしていました。このような絵はがきは、いわば時代の「生き証人」ともいうべき存在といえます」とあります.こうした観点から,館蔵の絵はがきを4部構成で紹介しています.はじめは「絵はがきの移り変わり」で,初期(明治33年〜明治40年 3月)には「宛名面に通信欄の罫線がなく、この面に私信を書くことが禁じられていました」とのこと.やがて宛名面の下段に私信を書くことが認められ,現在わたくしたちが使っているような絵はがきの形式ができあがるわけですが,初期の絵はがきでは裏面の絵や写真が印刷されているところに私信が書きこまれているんですね.宛名面の変遷について本で知ってはいましたけど,裏面に書きこみのある実物ははじめて見ました.つづく「絵はがきが伝える出来事」では戦争や皇室の行事や博覧会などが絵はがきの図柄として取りあげられていることを示し,さらに「絵はがきが伝える風景」は,はじめに練馬の風景を写した絵はがきを展示しています.石神井公園三宝寺など,大正から昭和初期くらいまでの絵はがきと,その同じ場所を写した現在の写真をならべ,壁面には地図をかかげて,展示されている絵はがきの位置を図示しています.さすが練馬区の施設だけあって,このあたり気合いがはいっていますね.この「絵はがきが伝える風景」はよりスケールがおおきくなり,「東京の名所」や「日本の名所」や「海外の名所」をあつかう絵はがきへとふくらんでいきます.なかで,北海道のアイヌなどをとりあげているものもありますが,わたくしがへーとおもったのは「旧満州」での「高脚踊り」です.こういうものがあるのは,はじめて知りました.これら「各地の風俗」をあつかうことについては,気をつけなくてはいけない問題点が多々あるのは承知していますけど,やはり,ひとびとの好奇心(関心の持ちよう)を示唆するという意味で,絵はがきを読み解いていくのは有意義なことといえるのではないでしょうか.最終の第4部は「トピックス 手紙の魅力」として,ややおもむきを変えて「文人の手紙」を紹介しています.五味康祐にまつわるものが多いですね.余談ながら,五味康祐がとりあげられたのは,先月にオープンしたふるさと文化館分館が五味康祐の遺品を受けいれたことが関係しているのでしょう.分館に展示されているオーディオ装置類,なかでも巨大なスピーカーシステムはすごいです.