指輪のあれこれ

国立西洋美術館で ≪橋本コレクション 指輪 神々の時代から現代まで−時を超える輝き≫ を見ました.橋本氏の指輪のコレクションは2008年に箱根ガラスの森美術館で見たことがありますが,そのときは70数点の展示でしたので,今回はその4倍ほどの規模になります.まずは古代エジプトにはじまり,中世からルネサンスをへて近・現代までの歴史的変遷をたどり,ついで「飾らない指輪」として,つまり護符とか印章として使用された指輪に着目し,つぎの「語る指輪」では描かれたもの,すなわちギリシア神話キリスト教世界のモチーフがいかにとりあげられているのかを探っています.さらに製作上の技法とか,指輪に込められた意味,絵画と指輪との関連など,さまざまな角度からのアプローチがなされているのが,この企画展の特色といえるでしょう.18世紀から20世紀前半までのドレスが展示されているのにも,驚かされました.そしてそれぞれの時代の趣向に応じた(らしい)指輪がドレスと並んで置かれています.さいごはオマケというか,時計やカメラや毒薬(!)を仕込んだ指輪までありました.指輪という,ごくちいさな<モノ>にいろいろな意味や由来があることを教えてくれた点でたいそう有益な,そして見るだけでも楽しめる展示でした.