残酷さをふくんだファンタジー

TONO『砂の下の夢 空の下の緑 1』(秋田書店平成26年 9月)読了.このところ,日常生活のあれこれに取材したエッセイマンガが多かったTONO氏ですが,今回はうってかわって,奇妙な世界をたっぷりと描いています.なんともふしぎなストーリー,奇々怪々な登場人物たち,ひとびとの切実なおもいと残酷な現実,さほど入念ではない絵と,ときに強烈で印象的な描写など,さまざまな要素が混在していて,どのように鑑賞すればいいのか,どう評価すべきなのか,困惑してしまいます.TONO氏の本領がどこにあるのか,エッセイマンガなのか,諷刺的な作品か,ファンタジーなのか,これまたむずかしい問題で,なんともいようがありませんが,これからも注目したい漫画家さんであることはまちがいありません.