現代とは異なる感覚

中野区立歴史民俗資料館で,今日が最終日の企画展「旅とひとびと」を見てきました.チラシに「近世の信仰に基づく旅から、旅に関する地図やお土産品などを紹介し、江戸時代から現代までの旅の変化をお見せします」とあるように,現代人のかんがえる「旅」とは異なった種々相を示しています.「講」というのがいい例で,富士登山とか伊勢参りなどを,ある地域のなかから選ばれた人々だけがおこない,他のひとはお金を出すだけ,というんですね.今ならかんがえられないような風習(制度?)ですけど,金を出しただけのひとも,じっさいに旅したひとたちとおなじように,自分が旅や参詣をおこなったように感じたらしいのです.ここに,「自我」を主とする現代的(西洋近代的)思考法とは異なる感性を見るべきなのかもしれません.なお,この展示会場には井上円了の蒐集したさまざまな民芸品や土産物が展示されています.一見の価値ありです.