着物の線が色っぽい

回向院念仏堂でおこなわれた ≪二日間だけの鳥居清長展≫ を見てきました.ことしが清長の没後200年にあたるとのことで,「清長と縁の深い」回向院での展示が企画されたのだそうです.大判の作もあれば,縦に細長い柱絵もあり,美人画や役者絵や,金太郎を描いたものなどいろいろです.「天明期のヴィーナスとも呼ばれる均整のとれたプロポーションの美人」たちの,流れるような着物の線がすてきです.チラリと足がのぞいたりするのが,色っぽくていいですね.が,それだけではなく,清長の作には,あそびごころとでもいったらいいでしょうか,ちょっとした趣向がところどころに凝らされているようにおもわれるのです.相撲をとっている天狗が,金太郎よりはるかに小さく描かれたり,小犬を牽く金太郎の背後の熊が子犬とおなじ大きさだったり.「出語図」というのも,役者(あるいは芝居の一場面)を描く従来の錦絵とはことなる発想が込められているのではないでしょうか.