戦後70年を期して その4

文化学園服飾博物館で ≪衣服が語る戦争≫ を見ました.日清・日露戦争あたりから第二次世界大戦前後まで,戦争というものが服飾にどんな影響をおよぼしたのかを,当時の衣服や写真や雑誌など,さまざまな資料によって検証しています.着物の柄に戦争関連の意匠があらわれるのがおもしろい,などといったら不謹慎といわれるかもしれませんけど,国旗を持って行進しているこどもたちや,中国大陸の地図を描いたもの,日章旗ハーケンクロイツをちりばめたものなどには,歴史的史料としての意味があるといえるでしょう.軍服を模したこども服も,けっこう流行したようです.が,昭和10年代になると,物資不足にともない衣類が統制されていき,その経緯を,国民服や更生服の実物によって示しています.和服一着を解体して更生服二着に仕立てなおしたという涙ぐましい努力や,そうしたことを称揚する雑誌記事なども紹介していて,「戦争」がひとびとに苛酷で悲惨な犠牲を強いたことをうかがわせます.もっとも,日本ばかりでなく,欧米でも戦争が服飾におよぼした影響はかなりつよかったらしく,ミリタリー・テイストを受けいれた当時のスーツをいくつか展示しています.なお,1階の展示室では戦後のありさまなどを紹介していますが,こちらでおどろいたのは,日本軍の落下傘を再利用してつくった女性用の着物です.