多面的な神さま

渋谷区立松濤美術館で ≪スサノヲの到来 いのち、いかり、いのり≫ を見ました.スサノヲは「大地を揺るがし草木を枯らす荒ぶる魂と、和歌の始祖としての繊細な美意識を兼ねも」っており「ときとしてスサノヲは天災として顕現しますが、見落としてならない点は芸術家に霊感をあたえるその力です」とチラシにあります.こうした,一筋縄ではいかない存在にいろいろな角度からせまっているのが今回の企画で,縄文時代の土器や陰陽石にちかいようなものから,スサノヲを描いた絵巻や絵画,神社に祀られた面など,じつにさまざまなモノが出展されています.絵画では,八岐大蛇退治のシーンが多いようですね.ほかに,スサノヲに触発されたというか,関心を示したひとびととして平田篤胤出口王仁三郎を挙げています.さらに,田中正造南方熊楠折口信夫の業績を紹介しているあたり,この企画展がきわめてユニークであることをうかがわせます.現代作家による創作もかなり展示されており,なかには「スサノヲとの関係アリ?」とおもわされるものもなきにしもあらずですが,美術館のラディカルな姿勢のあらわれと解しておきます.