装飾への執念(?)

文化学園服飾博物館で ≪世界の刺繍≫ を見ました.「糸と針という簡単な道具で自由に文様を表すことができる刺繍は、古くから世界各地で行われてきました」とチラシの冒頭にあります.そうした「約35か国のさまざまな刺繍を紹介」しています.ひとくちに刺繍といっても,その技法やデザインはいろいろで,一様ではありません.糸が主に線や輪郭を表す場合もあれば,面を表すものもあり,さらに他の布やビーズや金属片などを織り込んでいるものもあります.デザインも,抽象的な文様もあれば具象もあり,地域によってもさまざまです.用途も,衣装のほか,壁掛けなどの家具類やバッグや財布といった道具にも刺繍をほどこしたものがあります.それにしても,「簡単な道具で自由に文様を表すことができる」とはいうものの,ひと針ひと針を刺すこまかい作業の積みかさねに従事したひとびとの苦労というか執念には,まったく驚ろかされます.