箔押しのような金と銀がみごと

武蔵野市立吉祥寺美術館で ≪生誕120年記念 小林かいち展≫ を見ました.2004年と2011年にかいちの作品をいくつか見たことはあるのですが,今回は500点以上を一挙公開しており,これほどまとまって見るのははじめてです.絵はがきと絵封筒という,やや小さめの画面内に女性や風景や建築や動植物,各種の図案などを木版で描きだしており,そのこまやかさと色彩のみごとさとは,なんともいいようがありません.わたくしの好みでは,ローキーな色合いのものと,(人物ではなく)動物・植物を描いたものに,惹かされます.「蜘蛛の巣」はとくにいいです.なお,画面内のこまかな部分に金と銀が箔押ししたかのように使われている作品があり,ちょっとななめの角度から見ると,輝いているかのようです.この効果も,すばらしいというほかありません.