紙のいろいろ

LIXIL ギャラリーで ≪WASHI 紙のみぞ知る用と美≫ を見てきました.和紙と聞けば,ふつうはお札や障子紙や錦絵の用紙などを思い浮かべますが,それだけではない,「紙」とはおもえないようなものもある,ということを知らされました.和紙の性質や特徴,作成(手漉き)の順などの基本的な知識をパネルで解説したあと,「衣/食/住/遊」の4セクションに分けて具体的なモノを展示しています.紙でつくった着物があることは,歌舞伎の「廓文章」に出てくる「紙衣」で知っていましたけど,じっさい,紙製の合羽や半纏などがあって,使われていたのだそうです.盃や椀などの食器類もあれば,室内で使う行燈,箪笥,物入れもあります.紙で食器が作れるの,と疑問すら浮かびますが,紙縒を編んで布状の材にしてから成形し,漆を塗って固めるのだそうです.さらに「遊び」のための紙類にはお面や人形があることはだれでも思いつきますが,節句飾りの雛鎧(ミニチュアの鎧兜)には驚きました.紙製の「犬筥」も,よくもこんなに大きいのをつくったものです.今回の展示ではじめて知ったものに「縮緬錦絵」があります.まるで縮緬の布に錦絵を刷り込んだかのような,不思議な印象を与える作品になっています.いつも同じような感想ばかり書いていますけど,この展示も,再度見にいきたいものです.