スゴイ!というほかない

Bunkamura ザ・ミュージアムで ≪ゴールドマン コレクション これぞ暁斎世界が認めたその画力≫ を見てきました.暁斎といえば,奇矯な作風の絵師だというふうに捉えがちですけど,けっしてそればかりではなく,じつに多彩で多様な作品を産みだした非凡なひとだということをおもい知らされました.狩野派をはじめさまざまな流派に学び,西洋画の技法をも研究し,独自の感性と批評精神をもってときには正統的な絵を,ときには戯画を,大量につくりだしたその技量と仕事量はたいへんなものです.イスラエル・ゴールドマン氏のようなコレクターが出るのもむべなるかな.これほどの作品を鑑賞できたのは,なんともありがたいことです.ゴールドマン氏の趣味もあるのでしょうか,動物が多いですね.「第1章」ではカラスを集め,有名な「枯木寒鴉図」とおなじような絵もありますが,どの作にも工夫があって,決してマンネリにはなっていません.「第2章」にはいろいろな動物が出てきます.リアルな描き方もあれば,曲芸をしている動物もいます.「第4章」では鍾馗なども戯画化して描かれていて,笑ってしまいます.その他,どれもおもしろく,十分に堪能しました.が,今回の展示のなかでもっとも印象にのこったのは「笑絵三幅対」(cat. no. 175)です.これまでにも紹介されていて,知るひとも多いかとおもいますが,実物に接してこみあげてくる(愉快な)感覚はどういえばいいんでしょうか,ぜひ,多くのひとに味わってほしいものです.