やっぱりスゴイ

別冊太陽 日本のこころ 250 宮武外骨 頓智と反骨のジャーナリスト』を読みました.外骨のことに触れた雑誌として,わたくしの手元に『サライ 1992年3月19日号』と『AMUSE 1994年12月28日号』がありますけど,どちらも雑誌の一部(20ページ足らず)を割いているだけで,今回の『太陽』のようにまるまる一冊で外骨をとりあげているのは,おそらくはじめてではないでしょうか(『広告批評』と『ユリイカ』にも外骨特集はありますが,モノクロの写真しか掲載していません).カラー版で,外骨が発行した雑誌や書籍を紹介したうえで,そうした活動をした「人間外骨」の生涯を多くの資料を掲載して綴っています.外骨がきわめてエネルギッシュで筆まめなひとだったことがわかります.日記やメモなど膨大な量にのぼるようですが,おもしろいのはそうした私的なモノと公の刊行物の内容とがハッキリと分かれているわけでもないらしいことです.現代の感覚とはちょっと違うところがあるのかもしれません.なお,外骨にはビジュアルなものへの関心が非常につよい,というのが今回の読書から得たわたくしの印象です.それと,巻末に載せられている年譜によると,外骨は十代前半に四書五経や漢学を学んでいるとのことです.外骨の学歴や教養について,どれほどの研究がなされているのかは知りませんけど,漢学の素養はかなり大きな要素なのではないでしょうか.