絵の背後にあるもの

国立西洋美術館で ≪アルチンボルド展≫ を見ました.アルチンボルドといえば,ひとの顔をくだものや魚の寄せ集めで描いた画家として知られており,まずはそうしたケッタイな絵をおもしろく見たんですが,じつはそれだけではなく,当時のひとびとの世界観(とでもいうべきもの)を絵の背後に探ろうとする姿勢がこの企画展にはあるのではないか,ということを感じました.<四季> とか <四大元素> といった,世界を統べる要素がアルチンボルドの作品の背後にあることを示すような展示になっていたからです(と,おもいました).いっぽう,レオナルド・ダ・ヴィンチの素描なども展示しており,しかも,そこにはかなり変わったもの(「鼻のつぶれた禿頭の太った男の横顔」など)も描かれており,当時のひとびとの関心の多様さを見ることができます.未知のもの,奇怪なものへの興味も旺盛で,ブロンズ製のヘビやカエル,さらには繊細な意匠のオイルランプなどの工芸品は,よくもこれだけの手数をつくしたものだと,感嘆させられます.