重量感と躍動感

東京国立博物館で ≪運慶≫ を見ました.10時すこし前に着いたのですが,かなり長い列ができており,入場まで30分ちかく待たされ,館内も相当に混雑していました.でも,やはりいってよかったです.写真で見るのと実物に接するのとでは,「迫力」といったらいいでしょうか,あるいは「存在感」でしょうか,こちらにうったえかけてくるところがちがいます(と,感じました).全体の印象としては,標題に記したように,まずは重量感に圧倒されますが,それと同時に衣文などのうごきにも目を奪われます.個々の像の表情(のちがい)も楽しいですね.運慶の父・康慶作の「法相六祖座像」には厳粛な顔もあれば,泣いているかのようなまなざしの像もあります.四天王や八大童子の姿かたちもさまざまで,よくもこれほどにいろいろな像をつくったものです.そのエネルギッシュな活動には,おそれいりましたというほかありません.そうした正統的な感想とは別に,展示のおわりちかくにあった運慶の子息(たち)によるらしい「神鹿」と「子犬」の可愛らしさに,ちょっとほっとしました.