雅びの極致

千葉市美術館で ≪ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信≫ を見ました.これほど多くの春信作品に接するのは,はじめてです.世俗のしがらみなどをまったく感じさせない,雅やかな男女の姿を見ているだけで,幸福に気分にさせてくれます.しかも,それだけでなく,春信の作には見るものをさまざまな境地に誘うような <しかけ> が施されているんですね.いわゆる「見立て」によって,和漢の故事や伝承や詩歌を偲ぶこともできますし,空想にふけることも許容してくれそうです.なお,今回の展示で知ったこととして,春信の技法がじつに多彩であることを挙げます.先人の作をパロディー化したり,特異な色の使い方をしたりしており,さらに画面内で斜めの線を効果的につかって独自の動きを生みだしていることに,気づきました.