坂田靖子氏の新刊

坂田靖子『へだたり 坂田靖子よりぬき作品集』(ジャイブ,2011年 2月)を読みました.
おもに『JUNE』や『小説JUNE』に載せた作品をおさめているとのことです.すでに読んだものもあれば,今回はじめて目にしたものもあります.
ホモセクシュアルなふんいきが通奏低音のように全体をおおっていることはたしかですけど,それだけではない,よくわからないムード(と技法)もあって,ふしぎなおもむきを感じさせます.もし,この本ではじめて坂田氏を知った読者がいたとしたら,坂田靖子というのはいったいどんな漫画家なんだ,と,途方にくれるのではないでしょうか.そしてじっさい,この本以上に,さらに多様で多彩な作品(ストーリーマンガやギャグマンガや絵画的なマンガなど)をつくりだしているのが坂田氏なのですから,その作品世界の豊饒さはとてつもないものといわなければなりません.ひとりでもおおくの方に,坂田氏の世界を味わってほしいものです.
なお,「よりぬき作品集」の第3弾が今春発売予定とのこと.たのしみです