グロい美術史

小池寿子『内臓の発見 西洋美術における身体とイメージ』(筑摩選書 0018,筑摩書房,二〇一一年五月)を読みました.小池氏はダンス・マカーブルなど,ちょっとかわった角度から西洋美術史に取り組んでおられますが,今回の新著では,ずばり,人間の「内臓」をあつかっています.かなりグロいところもありますけど,どこもおもしろく読めます.というより,「内臓」をキーワードにした探究こそが,美術のワクを超えた領域に読者をいざなってくれる,というべきでしょうか.古代ギリシア哲学や神学や医学や錬金術や,その他もろもろの学問(?)の領域が入りまじった渾沌とした様相が描きだされています.