9年ぶり

一条ゆかり有閑倶楽部 11 有閑伝説』(集英社文庫集英社,2011年 6月)を読みました.第10巻が2002年 4月刊行ですから,まる9年のあいだを置いての出版になります.「『有閑倶楽部』は完結したんですか?と、 よく聞かれる」と「あとがき」に書かれているように,完結したような,まだつづいている(これからもつづく)ような,どうとも受けとれるものになっています.どの作品もストーリー展開や描写やギャグに作者一流の技法がこめられていて,おもしろく読めるのですけど,これはやはり1980年代のバブル期にこそふさわしい,という気がします,巻末におさめられた「Tribute」が徹底的なパロディーになっていることからも,「有閑倶楽部」がすでに古典化していることがうかがわれます.なお,各作について一条氏が書いておられる「Making」は,作者の意図と方法とを語っていて,将来のマンガ研究の貴重な資料になるものと,おもわれます.