流水りんこ氏の新刊3点

『インド夫婦茶碗 16』と『昭和のこども 3』と『インドな日々 4』を読みました(はじめの2点はぶんか社,『日々』は朝日新聞出版刊,すべて2011年 9月).どれも著者を主役(?)とするエッセイコミックですが,内容や対象へのアプローチのしかた,描き方には微妙なちがいがあるようです.『夫婦茶碗』はもう16巻になるんですね.ご家族の成長記録といってもいい面があり,巻末の「あとがき」によれば,アシタ王子さまは現在中学3年生で,177.4 cm に達しているとのこと.月日のたつのははやいですね.それに対し,『昭和のこども』にはノスタルジックな感覚があふれています.むかしのモノやコトを記録するこころみは博物館の企画やいくつかの書籍にもありますけど,この本の「第45話」に描かれているようなことは,このマンガならでは,伝えられなかったのではないでしょうか.その意味で,たいそう貴重な記録です.『インドな日々』は,そこに描かれている著者の体験と,作品化した時期と,そして今回の収録順とが錯綜していて,ちょっと複雑で,カースト制度なんかについても触れているんですが,バックパッカーとしてインドをさまよっていた著者の過去への,みずからする賞讃とでもいう感覚(pp. 162-168)がきわめて感動的です.