むかしのひとの工夫とその記録の貴重さ

東京都水道歴史館で《上水記展 分水にみる上水の役割》を見てきました.都指定有形文化財(古文書)になっている「上水記」は「玉川上水竣工から137年後の寛政3年(1791)に普請奉行上水方道方の石野遠江守広通が、 当時残存していた上水関係文書を編纂輯録したもの」だそうです.玉川上水神田上水にかんする諸資料で構成されていますが,なかでも「第二巻」がすごいです.ページ数でいうならおそらく200ページちかい分量の絵図をひろげて展示していて,玉川上水から江戸の町への水の供給状況をあらわしています.壁面には「上水記」各冊のページを写真版にしてならべ,取水口の位置や供給先についてのキャプションも添えられていますので,上流からの流れを順をおって見ていくことができます.江戸(の住人たち)への水の供給のために,むかしのひとはさまざまな工夫をこらしていたんですね.現在,わたくしたちがごくあたりまえのこととして利用している「水道」というインフラにも,貴重な歴史があったということを,この展示はおしえてくれます.